発達障害の子どもの療育は、早い方(より幼いとき)が有効性が高いと言われています。 しかし特に軽度の場合、発達・成長の違和感に気付くのは難しいです。
軽度の発達障害は気付きにくい
A君の発達障害が初めて疑われたのが幼稚園年少さんの中頃でした。
幼稚園に入園するまでは、親は特に違和感を感じることはなかったようです。
年少から普通の幼稚園に入園したものの、集団行動がほとんど出来ず、椅子に座っていられない、先生のお話を聞けない、1人だけ皆んなと違う事をする・・・
1学期のうちは、初めて母親から離れて慣れない集団生活だからということで、「男の子だしこんなものかなー」と、親も幼稚園の先生も思っていたそうです。
しかし、運動会の練習などで周りとの差が顕著になってきました。
幼稚園についていけない
年少の中頃、担任の先生から「自治体の相談に連れて行った方が良い」と言われ、お母さんは「自治体の相談って何だろう?」と思ったそうです。
それは障害の疑いのある子の相談をする所で、専門機関での発達検査を勧められました。
発達検査の結果、IQ97、知的な遅れはないけれど、もしかしたらADHDかも・・と。
幼稚園での問題行動は、多動症によるものではないかと言われたそうです。
しかし、はっきりと診断がついた訳ではありませんでした。あくまでもADHD疑いの状態。
幼稚園を辞める
A君が幼稚園に行きたがらず、ずっとお休みしていたそうです。運動会や発表会も欠席でした。
ついに年中に上がる前に幼稚園を辞め、障害児通園施設に入園し直します。
障害児通園施設は、発達障害疑いの子から重度知的障害の子まで、障害や日常生活に困難がある子が通っています。
子ども2〜3人に1人の先生がついてくれて、一人一人に合わせた療育や、身辺自立の為の訓練行ってくれます。
※障害児通園施設についての参考記事→障害児通園施設へ願書提出しました
質の高い療育のおかげか、本人の成長によるものか、普通の幼稚園で荒れていたA君も落ち着いて椅子に座れるようになり、集団行動を乱す事もなくなり、卒園する頃には至って普通の6歳の男の子でした。言葉の遅れもなく思いやりもある優しいA君です。
従って、小学校の就学相談でもIQなど何の問題もなかったので普通級に入学しました。
むしろ、障害児通園施設でしっかり教えられているため、小学校に上がったときには他の子よりもしっかりしたお行儀の良い子でした。
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義務教育の勉強についていけない
しかし、お勉強が始まると、算数が出来なかったのです。
国語で文章を読む、文字を書くなどはできるけど、算数に関しては数の概念が分からない、算数の記号が分からない、そのため足し算引き算ができませんでした。
再び療育センターで、発達検査や色々なテストや勉強についての聞き取りにより「学習障害」との診断がはっきりとついたのです。
このまま普通級にいても、勉強はどんどん遅れる一方なので、2年生になるときに、普通級から支援級に変わりました。
しかしA君本人は、もう周りの子と自分の違いを感じていて、支援級に行きたがらず、3年生になる頃に不登校になりました。
自分は普通ではないのか?
皆んなできる事が自分には出来ない。
いじめられたり、からかわれたりした訳ではないのに、本人の中には劣等感が芽生えていたのです。
不登校のまましばらく過ごし、4年生になる頃に、不登校の子どもが通う為のフリースクールのような所に入りました。
しかし、1度感じた劣等感はなかなか消えません。小学生の今、既に鬱のような症状が出ているということで、カウンセリングにも通っています。
A君のお母さんの言葉
「もっと早く、幼稚園入園前から療育を受けさせていたらまた違ったかもしれない。幼稚園に入園したのに、制服をほとんど着ることもなく、途中で通えなくなった。もっと私が敏感だったら、早期療育を受けられたのに」
こんな風に言っていました。
難しい現実
この話を聞いて思ったのは「発達障害は早期発見、早期療育、そして適切な環境選びが非常に重要だけど、いかに難しいか」ということ。
子どもが小さいうちは環境も療育も親が用意してあげるしかありません。でも集団生活を始めてみないと気づかないことも多いですよね。
私が感じたこと
ほんの1年先の事すら誰にも分からないけれど、その時々で適切な療育を受け、その子に合った環境を整えてあげる事が最優先なんだなぁ。
早期療育を受けていなくても、気付いたらそのときからでも決して遅くはないと思います。そして、自己肯定感を高めてあげる「周りと違ってもあなたはあなたで良いんだよ」の姿勢で子育てしたいと思います。
A君のお母さんのような友人がいて、私は幸せ者です。沢山の情報を教えてもらっています。いつも「一緒に頑張ろう!」と励まし合っています(^^)
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